日々淡々
あまりの凄まじさ故にかえって現実味の乏しい映像に度肝を抜かれ、その後の世の中のゴタゴタに茫然自失のうちに今日まで時間を空費してきました。
被災された方々や、志半ばで命を奪われた方々、残された家族の皆様方には、今なお見舞う言葉が見つかりません。
その間、原発事故や避難所の惨状、はたまた物不足や買い占め問題等々、一気に噴き出した社会の病巣に、僕自身今なお綿埃のように宙に舞った状態です。

地震の瞬間は、所用で訪れた自宅近所の商店街の駐車場におりました。
これまでの経験とは明らかに異なる不穏な前兆に気づいた僕が、やり取りをしていた相手の言葉を遮り、『来ますね』と発した瞬間、激しい揺れと初めて耳にする大地の唸り声が辺りを支配しました。
隣接する建物同士がきしみ音を立てながら左右に大きく揺れ動く様は、(不謹慎ではありますが)臨場感溢れるスペクタクル映画のようでもありました。
目前の光景は夢で幾度か体験していたためか、僕は不思議と冷静でいられました。
悲鳴をあげながら中から飛び出して来る人々や、不安気に立ち止まり身を固める人々を眺めつつ、『ついに来たか』と覚悟を決めたのを記憶しています。

急いで戻った自宅に幸い大きな被害はありませんでしたが、その後TVで目にした数々のニュース映像は、僕の想像力を遥かに超えていました。
大波に流されるオモチャのような家々や車の中に、逃げ遅れた人達がいるのかも知れないという単純なことが、今ひとつ感じ取れないもどかしさがありました。
映像に携わる身からすると、(9・11の時もそうでしたが)TV画面を通して流されるそれらの場面が、ともすれば特撮映画の1場面のように見えてくるのでした。
その不謹慎な感覚を打ち消そうと、何度も頭をリセットする必要があった程です。
僕の想像力が足りないと言ってしまえばそれまでですが、普段の情報過多の弊害がこんなところで露見してしまったようです。
しかし翌日目にした僕の事務所の惨状は、今回の震災の片鱗を改めて実感させてくれました。
かなり重量のある撮影台や、棚の中の撮影機材が見事なまでに散乱していて、呆れ果てたた僕がまず最初にとった行動が、その様子を写真に収めることでした。
まるで救助隊の一員にでもなった気分で部屋の奥へと分け入った僕は、大切にしていた品々の末路を目の当たりにしても意外に平静でした。
インターネットも断線していたので、普段忘れがちな日常の有難味を再確認させられたのは、恐らく皆様方と一緒のことだと思います。
ネットワークの再生後、さしあたって僕にできることは何だろうと考えてみましたが、微々たる献金以外に思いつきませんでした。

最近になり、若干違う観点から震災を考え直しています。
それは、(人生一寸先は闇)ということです。
何を今更とお叱りを受けるかもしれませんが、実際これが正直な気持ちです。
あの日以降、日本全体が大きく行き先を変えた(変えざるを得ない?)ように思えます。
国としての方向性は、ひとえに個人個人のライフスタイルに直結してくるものです。
それぞれの人々が、自身の人生やこれからの生き方を冷静に考えるタイミングなのかもしれません。
一寸先が見えないからこそ、そこに闇を予想するのか、光を求めるのかが問われるのでしょう。
(自分も含めて)あまり深く考えもせず、皆で何となく生きて来た人々にとっては、大きな曲がり角であることは間違いないと思う、今日この頃です。



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